このコロナ禍の中、二泊三日の車中泊。二日目。
三日目復路に記録に書いていたメモをバサッと削除してしまい、記憶を辿りながら書いてます。
夕暮れと共に活動をやめ、朝日と共に活動を始める。
人間本来の活動パターンを車中泊で体現する。
着替えを済ませ、朝食はどうしたんだっけ?
とにかく今回の主目的『シワガラの滝』に向かって走り出す。
兵庫県美方郡新温泉町海上 小又川の渓谷に位置するこの神秘の滝。
滝の写真を撮るようになってから一度は行ってみたいと思っていた場所で、今回寸前に購入した『ひょうごの滝』でも印象的な文と共に紹介されている。
到着したのが6時過ぎ。
辺りには誰も居ない。
『マムシ・ハチ...』の注意書きの後に『ツキノワグマの生息地です』の文字。
あからさまに突きつけられたのは初めてじゃないか?
『誰も居ないうちに』っていうのと『誰か来ないかな』っていう気持ちが同時にやって来る不思議。
焦って準備をして車とトレイルヘッドを行ったり来たり。
本を読んで予備知識はあるけれど、それに加えてマウンテンバイクなどでの山行知識も入り交じる。
初めて使うカメラバッグに満載のギア。
ボトルと買っておいたサンドイッチ(あ、これが朝ご飯か)。
バッグに付けていた鈴をカーゴパンツのカーゴポケットに付け直して常に鳴るようにするビビリ。
『沢を渡る』という情報に長靴も。
雰囲気のいいトレイルだ。
でも書いておこう。
有志の手入れが行き届いているこの最高の山道にも『ゴミ』が落ちている。
飴の小袋にマスク。
このコロナ禍の中、いつものようには拾えない。
ましてやマスクやティッシュなど論外。
何をしに来ているのか?
かつては修験道の聖域だったというこの場所を汚すなら、来ないほうがいい。
美しいスイッチバックや対象的に険しい鎖場。
なだらかな林の道もあるけれど、そこでは獣への恐怖心がやって来る。
『クマさん、クマさ~ん!ちっさいオッサンが通りますよ~』と言ってみたり、『暑い!結構歩かすな~』とボヤいてみたり。
気になったのは、我々が慣れ親しんでいる山域とは植生が違い、山野草と呼ばれる草木がそこかしこに生えるこの道に、おそらくは油性のスプレーで白くマーキングされている所があった。
何か治山の方面で意味がある正しい行為なんだろうか?
知らず何とも言えないが、ハイキング道で身勝手な個人が岩や木々にスプレーでマーキングするのと同じ行為なら許し難い。
近付いてきた雰囲気。
僕だけかもしれないけれど...
人間はなぜ恐れるのか?
林の向こうから黒い塊がこちらを見ている気がする。
枯れ葉を踏みしめたのはクマではないか。
誰かの話し声が聞こえた気がする。
そんな恐怖。。。
シワガラの滝に到達した。
辺りの壁には、先日テレビで『幻の』という扱いをされていた『イワチシャ』が群生していた。
ちぎって少し噛んでみたけれど、特筆する味はなく、ただの葉っぱだった。
新温泉町役場の調べで、この特徴的な洞窟は滝の浸食にできた自然造形であるらしい。
中に入る前にまた振り向く。
恐怖心がマックスになる。
この前のカメラ、Olympus OM-D E-M10 Mark III の時から気付いてはいたけれど対応が間に合っていない、『NDフィルター』の必要性をまざまざと感じる。
何をやっても白飛び。
もう一段上を撮りたいのに上を向けない。
何とか雰囲気のある写真かと開いてみたら滝の飛沫がレンズフィルターに着いた後だった。。。
上手く撮れない事がショックで、折り返して桂の滝への工程が長かった。
所々で写真を撮るも自分でいいと思える写真がない。
そんな重い足取りの先に何やら動く黒いもの。
ゴマダラカミキリ!!!
深度合成で撮りたい!
止まって!お願い!止まって!
近頃加工もありかなと思い始めていて、今回のブログも多少明るさを調整したりしている。
この写真も少し加工した。
適当にやったにしてはいいんじゃないか?
途中ひとりの男性とすれ違う。
見れば背中のバッグに三脚。
『こんにちは』
『水量はどうでした?』やっぱり!な質問。
『初めてなもので比較ができませんが、十分な水量だったと思います』
『お気を付けて』
Tシャツどころか、パンツやズボンまでも濡れていない部分がないほどに汗をかき駐車場に戻った。
駐車場はどこもパンパンで、静かな道路に人が溢れている。
早くに行って良かった!
Tシャツだけ着替えて、もう一つ。
猿壺の滝に向かう。
なんてえ道を走らせるんだ!
しこも、そこかしこに大小さまざまな滝がある。
どこも染み込まない岩盤質なんだな。。。
その全てが空を見上げる勇壮な姿で、絞りの限界を超え、レンズの選択を超え。
初心者、上手く撮れず。
もうツブツブしか撮れない気分。。。
時間が遅くなり、当然先客が居る。
この猿壺の滝は道路からすぐの場所にある。
沢のベストポジションに三脚を立てジッとそのまま、撮るでもなくスマホを見ている。
陽射しを待っているのか?
なんとか人の入らない写真をフリーハンドで撮って、三脚を使うタイミングを見ていたら、今度は後から来た人が僕のフレームに入ってジッとする。
やれやれ。
またにしようか。。。
みんな先輩。
そんな中、スマホのテザリングで車載Androidナビを動かしているのに、スマホがブラックアウト!!!
何をどうしても回復しない。
前述したように、三日目復路の途中に書き溜めていた旅のメモを全消去してしまい、記録はなく記憶を辿るしかない。
否、Googleマップのタイムライン機能に助けられる。
GPS記録は不確かなれど、ちゃんと足跡を辿れる。
正にタイムライン。
時間を見て記憶を探っていく。
不調の原因究明と回復、それが無理なら最悪保証を使って新しい物に交換してもらうことまで考えていた。
待てど暮らせど順番が回ってこない。
もう一度、色々押してみよう。
シャッターボタンと電源ボタン...
ボリュームボタンと電源ボタン...ヴッ!
来たー!!!
復活!どうも強制終了ができたようです。
ドコモショップのお姉さんに事情を伝えて退散。
どっとお腹が空いてきて、道の駅 山陰海岸ジオパーク浜坂の郷にあるお蕎麦屋さん『てっぺん』で食事。
但馬牛もコロナ対策でマスクしてます。
ホッとして散策を再開します。
どこの神社だったか。
予定もなく、記録もなく、 Googleマップのタイムラインも曖昧。
資料にもない極上な神社。
覆屋が拝殿を兼ねたような造りの小さな神社の本殿は、力強い彫物が出迎えてくれる。
彫物の特徴から中井権次顕彰会の探訪記を調べると、これか!?という神社がある。
しかし細かく見ると龍の首の角度、力神の表情、鳳凰の口などが違う。
Googleマップの記録と照らし合わせても、その地域には足を踏み入れていない。
どうやら同じ人、六代 権次橘正貞の作の別の神社のようだ。
木鼻や厨子の彫りも深い。
こちら養父市関宮 関神社も六代 権次橘正貞。
向拝の竜は少し大人しいが、脇障子の彫りなども深く、右脇障子の裏に写真初心者泣かせな斜めに刻まれた銘がはっきりと見られる。
所かわって養父市八鹿 清養寺。
うろ覚えで境内に入ると、何も驚くような彫物が見当たらない。
ひとしきり見回って車に戻る。
持参していた資料を見ると、3m前後の巨大なケヤキの竜が『仏間の欄間に...』。。。
えっ!?
急な小さな階段を駆け上がり、仏間を覗き込むと...あった!
室内に上がらせてもらって膝を着いて見ていたけど、写真を撮れる場所じゃない。
仏間の畳に上がってもいいものだろうかと考えていると奥に人の気配が。
『あ!こんにちは。お邪魔しています。』
片付けをしていたお寺さんだった。
仏間に上がって写真を撮っていいか尋ねると『どうぞ。どうぞ。』と言っていただいた。
飴色に光るケヤキの竜が睨んでいる。
大きい。
...が上手く撮れない。
他の写真もそうだけど、もっと時間をかけて丁寧に撮らないといけないな。
全面に苔の美しい落ち着くお寺。
神仏習合の記憶が残された境内左奥に社殿がある。
ぐうの音も出ない程の彫物に圧倒される。
どれも写真がプアーで嫌になる。
六代 権次橘正貞に申し訳ない。
帽子をかぶった石灯籠。
なかなか撮影を拒む感じです。。。
日没コールド間近。
最終日に向けてコインランドリーでカーゴパンツとTシャツ1枚だけを洗って乾かす贅沢(笑)
こんどは臭い身体を何とかしようと、養父市三宅の天然温泉まんどの湯『合格の湯』へ。
毎日温泉に入って贅沢この上ない。
この日は国道9号線を行ったり来たりの印象。
晩飯を食べようにも、、、
長野でも感じるけど、どうしてああいった所には中華料理屋とラーメン店しかないんだろう。
蕎麦や山菜を食べられる店があってもいいと思うんだけど。。。
しかたなくコンビニで...
何食べたかも覚えてない。
道の駅ようか但馬蔵にピットイン。
毎晩恒例となったデータの抽出を行って...
おやすみなさい